父のようになりたくない
自分がお父さんみたいになっちゃう!…と思っていませんか?
何故何故を繰り返した結果、ゆきみちの頭の中に現れたのは父親でした。これには大変驚きました。何故なら父親は自分の人生に全く関係ないと思っていたからです。
53話で書いた通り、現在の私は父をどうとも思っていない、ワークの記述も母の半分以下。
『好きでも嫌いでもない、マスコットみたい』
それが私の父へのイメージです。なのでSさんの指摘がにわかに信じられませんでした。
だけど…
思考の癖の正体
ここで、これまでの自身の発言、行動が走馬灯のように現れます。
病気を抱えながら自分を育ててくれた父には感謝している…その言葉に嘘はない。だけど私が普段父に取っている態度、発言はどうだろう?
私はコーチングで、Sさんに言っていなかったことがあります。それが今もなお、父が入退院を繰り返していること。そして…それに対して私が嫌悪感を持っていると言うことです。
酷いと思われる事を覚悟で言いますが、漫画で描いたような発言を私は「暴言」だとは思っておらず、『うちはこうだから』と思っていました。…何故ならそれは昔からごく自然に持っていた感情だからです。
ちなみにSさんにこの事を言わなかったのは、隠していたからではありません。ただ父に対して無関心だからです。関心のないものについて話したりしない。
…これが私の父への態度です。
口でどんなに「感謝してる」と言っても行動が伴っていない。自分を省みればそれは明らかだったので、私はSさんの言う事を否定できませんでした。思考は行動として現れるのです。
人と違うこと=父のようになること=不要なものとして排除されてしまう
→絶対こうなってはいけない
これがゆきみちの強固な思考の癖の正体です
どんなに誤魔化しても、自分の思考は行動に現れているんだよね
嘘つけないんだよね
※ちなみにこれはしばらく経ってから飲み込めたことで、コーチングを受けてる最中はずっと半信半疑でした。
仕事を辞めなかった父
Sさんと話しながら、ゆきみちは涙が溢れました。なんて酷い事をするんだろうと思いました。確かに父は病気で、家族が困っていた事は事実です。
でも父は…病気になりたくて、なったわけではない。
病気になりたい人なんか、いない。
何より父は絶対に仕事を辞めませんでした。最終的に、私たち兄弟がある程度成長し、進学の目処がつくまで休職と闘病を繰り返しながら頑張り続けていました。
自分が働くようになったからもうわかる、働くって大変。理不尽な事もあるし、嫌な奴もいるし、思い通りにならない。健康な自分ですら大変なのに、心の病という自分ではどうしようもないものを抱えて、コントロールできない感情の波を抱えて、7人の家族を養うプレッシャーはどれほどだっただろうか。辞めたくなった事、絶対あっただろうなあ。
辞めなかったから偉い!と言いたいのではありません。父は父にできる事を、全力でやってくれた。そして私は今元気に生きている。
少なくとも、ゆきみちに「いらない」などと言われる筋合いはないよと思います。
頭ではわかるのに…なんでできないんだろうね?
…今ならわかるのに、頭ではわかるのに、何故か伴っていない自分の行動。
そんなちぐはぐな状態の中、Sさんがゆきみちに声をかけてくれます。
続く