挑戦したくない
面接は滞りなく、粛々と進みました。さて15話で、求人には大きく2つの種類があるという話を描きました。
①人手が足りないから求められる「穴を埋める仕事」
②新規事業をしたいから求められる「橋をかける仕事」
必ずとは言い切れませんが、①「穴埋め」は未経験・初心者でもOKなことがあります。②「橋掛かけ」はほぼ経験者を求められます。ゆきみちはこれまで①も②もやってきましたが、②「橋掛かけ」を経験することが多かったです。小さい会社での経験が多く必然的にやらざるをえなかったという言い方が正しいかもしれません。自分をアピールする職務経歴書にはその記述が自然と増えます。
しかしゆきみちが希望する仕事は①「穴埋め」ばかり。なぜかというと②「橋掛かけ」は大変だからです。仕事としてやりがいはありました。ですがメンタル的にも体力的にも大変な事が多いのです。
何より私自身が、小さい会社で広く浅く色々な事を手掛けている自分の経歴に全く自信が持てず
「私の経験は規模の大きい会社では通用しない、恥をかくだけだ」
と思っていました。
お互いの細かい部分は入社し働いてみなくてはわかりません。「こいつ思ってたより出来ねーな」と思われるのが嫌で、無難な①「穴埋め」、つまりスキルが足りていれば問題なさそうな仕事に吸い寄せられてしまうのです。
管理職を求められる年齢
そんなゆきみちの心とは関係なく、企業は管理職の打診をしてきました。
まあそうですよね。
経験が長くスキルはある程度あり、年齢も…となれば後進の育成に費やしてほしいと思うのは自然です。長期勤める前提で雇用するのであれば、必要な話だと思います。
しかし打診された私の正直な気持ちは
嫌だ!
でした。だっておかしいじゃないですか、募集内容と違うもの。
だけど…
人に合わせるのは得意だから
私はこれまで極力仕事を断らないように生きてきました。管理職は嫌だけど…内定をもらうにはそれしかないと考えました。
何より
「私は誰かに合わせて応えることがずっと出来てきた、これからもできるんじゃないか」
という謎の自負があったのです。
面接では笑顔で
「力たらずかもしれませんが、御社に貢献できるよう日々力を尽くします」
と答えました。…嘘じゃないですよ?できると思っていたから。
嫌な事もずっと我慢すると、麻痺して平気になっちゃうんだよ。
…怖い…
続く。